一方、僕は奥のクロークで休憩している30代後半の女性2人に話しかけることにした。

***

――お仕事は何をされてるんですか?

 総合商社。というか、私あんたみたいな若い男性に興味ないから話しかけてこないで。もう今日はダメよ、戦意喪失。

――はあ、なんかすみません。今日はいい男いないですか?

 というか、運営側も悪いわね。いつもの婚活パーティーなら、参加者にプロフィールカードみたいなものを首からぶら下げているから、無駄に話さなくて済むのに。プロフィールカードに年収の欄があるからそこで判別できるのに。

――へえ、そうなんですね。ちなみに今日はどこからいらしたんですか?

 私たちは埼玉から。あなたは?

――目黒区です。

(突然声のトーンが変わり)え!? ひょっとして実家?

――違います。一人暮らし。

 なんだ、ごめんなさい、私もう行かなきゃ。(と言って立ち去る)

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 お取り込み中お邪魔したのは悪かったが、それにしてもこちらもこういう場だから話しかけているわけで、そんな言いぐさはないだろうというと思った。しかし、このような仕打ちも潜入調査ゆえ、仕方ない。この女性は明らかにステイタスの高い男性、もっと言えば年収の高い男性と知り合いたがっているようだった。ちなみに、目黒区に食いついたのは、目黒区に実家がある場合、先代から多くの資産を引き継ぐことになるからのようだ。