これによると、基礎的な学力の達成度を客観的に把握するための「達成度テスト(基礎レベル)」を創設して、推薦・AO入試に活用することや、そこから難易度を上げた「達成度テスト(発展レベル)」を積極的に活用することも視野に入れています。達成度テストは、複数回の受験を可能としており、一発勝負、1点刻み選抜からの脱却が期待されます。

 外国語についても、外部試験の活用も検討されていますので、たとえば米国の大学留学で基準に使わるTOEFL、GTECであれば、さらにリスニングを含めた総合力を身に着けるように学習方針が変わっていくでしょう。

 提言書の方向性については概ね評価できます。私は、中学高校時代には、書を読み、友や師と語らい、文化祭や体育祭や部活動などで仲間と何かに打ち込むこととが望ましいと思っています。

 知識を詰め込むのではなく、情報や知識を、より良い判断にどう活用するかの知恵を身に着け、チームワークあるいはコミュニケーション能力を高めることのほうが大人になって役立つからです。

入試改革論議をミスリード
毎日新聞の不可解な特ダネ記事

 しかし、この一連の入試改革論議で不毛な問題が起こりました。そのきっかけはある新聞記事です。提言書が出る約3週間前の10月11日、毎日新聞が一面でセンセーショナルな“特ダネ”記事を放ちました。見出しとリードだけ引用しましょう。

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『国公立大 2次の学力試験廃止 面接や論文に 人物重視 教育再生会議検討』
政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、国公立大入試の2次試験から「1点刻みで採点する教科型ペーパー試験」を原則廃止する方向で検討することが分かった。同会議の大学入試改革原案では、1次試験で大学入試センター試験を基にした新テストを創設。結果を点数グループでランク分けして学力水準の目安とする考えだ。2次試験からペーパー試験を廃し、面接など「人物評価」を重視することで、各大学に抜本的な入試改革を強く促す狙いがある。

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 この記事が事実であれば、二次試験から学力試験が無くなってしまうわけですから歴史的な“大転換”です。人物評価重視という主観的要素が強まることで、学生の学力の客観的な担保ができなくなるわけですから、当然批判も起きました。