前回、アイデアは「才能」でも「感性」でもなく、「技術」で発想できることを紹介した。ビジネスには常に新しさが求められる。そのために必要とするアイデア、つまり、受け手の欲求を叶えるアイデアである。そのように考えると難しくしてしまうが、もっとシンプルにアイデア発想を考えればいい。じつは、アイデアのゴールは5つしかない! そして、「3つのステップ」から始めればいいのである。
本連載の1回目は、「なぜ、アイデアは技術で生み出せるのか?」を中心に解説した。2回目以降は、『アイデアにセンスはいらない』の著者・梶淳氏をお招きし、アイデアを育てる課程から世の中へ送り届けるまでを「思いつく」「組み立てる」「確かめる」「診断する」「継続する」の順に、インタビュー記事で構成する。
アイデア発想の第一歩は、
思い込みの解放から
――「アイデアが思いつかない」「自分のアイデアが企画としてとおらない」そのような声を聞きますが、何が足りないのでしょうか?
前者は、ひらめく技術を身につければ解決できます。今回、お話していきます。後者は、アイデアの組み立て方の問題(第3回掲載)ですね。伝え方(第5回掲載)も必要になってきます。
――まずは、何から始めればよいのでしょうか?
多くの企業は商品・サービスをつくらなければいけないし、売るために宣伝をしなければいけないし、広めるために仕掛けをしていかなければいけない。そのために、多くのビジネスパーソンはアイデアを出せ、と言われていますよね。みなさんの抱えている問題です。
まずは、何を思いつくかというよりも、「アイデアを考えることが難しい」などの思いこみやプレッシャーから自分を解放することです。
なぜ、私がそのようなことが言えるのか? 「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」など、長寿キャラクター番組を中心に、30番組以上をプロデュースしてきました。この仕事、終わりがありません。国民に愛されている番組ですから。
何もしなくてもいいのかというと、もちろん、そういうわけではありません。次々とアイデアを出していかなければならない。この仕事を支えているのは、カリスマクリエイターとそれを支える数百人単位のスタッフ。そのスタッフも多くのアイデアを出しています。