ヒット商品や優れたサービスは、なぜ、世の中の人に受け入れられたのか? もちろん、そこには、作り手・売り手の「アイデア」が存在する。メディアを通して、彼らの開発秘話などを聞いて、「とても自分では考えられない」「さすが、○○さんだ!」と感じた方も多いはず。しかし、本当に、その人だから生まれたのか? その問いに答えるべく生まれたのが、『アイデアにセンスはいらない』。先に結論を言うと、ヒットにつながるアイデアは誰でも発想できる。そのために必要なことは、半径3メートルの領域で、「3つのステップ」から始めること。どんな人でも“外さない”50の法則として著している。
本連載の1回目は、「なぜ、アイデアは技術で生み出せるのか?」を中心に解説する。2回目以降は、『アイデアにセンスはいらない』の著者・梶淳氏をお招きし、アイデアを育てる課程から世の中へ送り届けるまでを「思いつく」「組み立てる」「確かめる」「診断する」「継続する」の順に、インタビュー記事で構成する。
制作者の巧妙な意図(アイデア)を、
知らずにみな受け取っている
生活の一部となって久しい「テレビ」。情報を収集するためのツールであったり、娯楽を楽しむツールであったり、食卓のコミュニケーションのツールでもある。さまざまな番組のジャンルが存在するが、子どもがテレビに期待するのは、「アニメ」「キャラクター」番組。読者のみなさんも1週間に1回放送される番組を心待ちにしていた時代があったと思う。
著者は、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「平成仮面ライダーシリーズ」「スーパー戦隊シリーズ」など、国民的番組を中心に、30以上の番組や映画のプロデュースに携わってきた。いまでは、テレビ朝日の現役社員のなかで一番の実績となっている。
ここで、疑問をお持ちになった方もいると思うので、速やかに答えたい。「そもそも、人気の原作を映像化するだけなのだから、そこにはアイデアもなければ、特別な能力はいらないだろう」と。上記の作品がヒット番組だからそう思われるかもしれないが、人気原作を映像化したのに、日の目を見ないまま、消えていった作品は多く存在する。消えていったのだから、みなさんの記憶に残っていないだけなのだ。
では、なぜ、上記の番組群は人気を呼び、かっこいい言い方をすれば、みなさんの心の中に生き続けているのでしょうか? そこには巧妙に仕掛けられた、制作側の意図(アイデア)がある。著者の言葉を借りると、次ページのとおりである。