イオンの岡田元也社長がメディア各社とのグループインタビューで、同社の現状や課題、今後の方向性について語った。リーマンショック以降の消費不況に見舞われ、2009年2月期は最終赤字に転落。業界の先陣を切って値下げを繰り返し、体力消耗が指摘されている。業績については「景気は関係ない、われわれができていなかっただけ」と反省の弁を述べた。製造小売り業(SPA)への脱皮を図ることでニューマーケット創出に意欲を示す一方で、得意の低価格路線は否定しなかった。また、肥大化したグループ組織にダブリが多く、思い切った整理が必要との認識を示した。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)
メディア各社とのグループインタビューに答えるイオンの岡田元也社長 |
―各社がセールや値引きを展開している。お客の反応は鈍くなっているのではないか。
現在特有の消費環境の問題もあるが、セールの問題は、昔から共通している。同じことを繰り返していても、消費者の反応は悪くなっている。
イオンは、12月10日~14日の5日間、全国ショッピングセンターの専門店と直営店で一斉セールを開催した。この5日間の売上高は前年同期比で30%伸びた。
今回、有力テナントのトップと意見交換する中で共通していたのは、今までと同じことをやっても仕方がないということだ。今回のセールは、値引き率はたいしたことなかったが、ともかくショッピングセンター全館でやりますと、お客様に分かりやすい打ち出しができた。
今までは、テナントはテナントの都合で、イオンリテールはイオンリテールで勝手バラバラにセールをして、自分たちの力を100%出しきれていなかった。グループの中のシナジー効果や、持っている力を発揮できるようにしようと、直接、有力ファッションテナントのトップと話をして、賛同を得て、統一セールを開催した。
これまで、経営幹部やトップが関与していないことによる問題が山積みになっていた。われわれ自身が深くコミットして全力でやらなければ、このままではダメだという危機感がだいぶ出てきたと思う。
景気とは関係ない。われわれができていなかっただけだ。