3月30日、羽田空港の国際線が大幅に増える。昼間の便が中心で、利便性は格段によくなる。価格やサービスの競争はさらに激しくなり、ビジネスマンも旅行者もその恩恵にあずかりそうだ。

3月30日、羽田空港が大きく変わる。羽田から海外に飛び立つ人にとってはうれしい、国際線の昼間の便(6〜23時に発着)が増えるのだ。

羽田は都心から近くて便利だ。特に八王子方面など東京都の西側や、神奈川県に住んでいる人にとって、羽田は成田よりはるかに近い。

 しかも、羽田では他の空港より国際線の搭乗手続きの締め切り時刻が遅い。

 一般の国際線では、日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)共に、出発時刻の1時間前に搭乗手続きを締め切っている(エコノミークラスの場合)。ただ、羽田だけは40分前が締め切り時刻だ。「羽田は空港がコンパクトな造りになっているため、搭乗手続きの締め切り時刻を遅くすることができる」(ANA)という。

 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、国際線に搭乗する場合、「成田なら出発2時間前には空港に到着しておきたいところだが、羽田なら1時間30分前で十分間に合う」と言う。

 国内外を忙しく飛び回るビジネスマンには、大きな違いだろう。

地方に住む人にも
羽田国際線増強の恩恵

 また、成田の場合、悪天候などで成田エクスプレスや京成スカイライナーなどの鉄道が止まったり、バスが運休したりするとお手上げだ。2月の大雪で成田が〝陸の孤島〟となったことは記憶に新しい。

 ところが、「羽田ならタクシーを使えばいい。時間的にも金銭的にも心理的にも負担が軽い」(鳥海氏)というメリットがある。

 羽田の国際線の増便で恩恵を受けるのは、首都圏に住む人だけではない。羽田からの国際線が増えれば、地方から羽田経由で海外に行きやすくなる。 羽田の再国際化が始まった10年まで、地方に住む人は国内線でいったん羽田に飛び、地上交通で成田まで移動して海外へ向かわなければならなかった。

 この煩わしさから、地方では、韓国の仁川空港(ソウル)を経由して海外の目的地へ向かうルートがはやっていた。仁川と結ばれた日本の地方空港は20以上ある。

 しかし、運輸政策機構の調査によると、10年に羽田が再国際化して以降、日本の地方から海外に行く人は仁川経由から羽田経由に移りつつある。国際線に乗る人の仁川経由の比率は、中国・四国地方では10年の11%が11年には3%に、九州・沖縄地方では10年の15%が11年の8%に減っている。

 日本で乗り継いでもらうため、日系エアラインは国際線への乗り継ぎを目的とした国内線に割引運賃を出している。JALは片道5460円、ANAは往復1万円と破格の運賃で利用できる。