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「デジタルな日常」を生きる

容易に真似できない日本の技術を集め、世界に発信
「精密すぎるiPhoneバンパー」の価値

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第15回】 2014年3月18日
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 しっとりと手に馴染むバンパー。その曲線を三次元加工機で滑らかに削り出すことによって作り出しているという。ちなみに切削機械には削る部分が三次元的に動くだけでなく、削る材料を固定する土台も二次元で動く、「五次元加工機」と呼ばれるものもあるという。後藤氏はこの五次元加工機でしか出せないケースについても、試作中だという。

 また、iPhoneに馴染む色味を出すための加工では、顔料を金属に固定する際の加工方法を改善することで、しまった光り方だけでなく、少しサラサラとした独特の手触りを実現している。こうしたアイディアや使い勝手にまつわる改善方法にたどり着くと、同じプロダクトながら常にマイナーチェンジをしているという。

二極化の中で、専業高級ブランドを
日本らしく作る

 「スマートフォンのアクセサリは、非常に活況ですが、多様化が進んでいます。しかしだからこそ、SQUAIRには大きなチャンスがあります」と後藤氏は自信を見せる。

 「マーケットを冷静に分析し、現在はiPhoneのアクセサリというジャンルで勝負しています。その中で、2014年は一番面白い1年になるのではないか、と見ています。つまり、安いものは徹底的に安く、多様性が広がる世界へ。そして同時に、価格の高い高級品の市場がより拡がるのではないでしょうか」(後藤氏)

 例えば日本の場合、家電量販店で価格と種類の豊富さの中から選ぶ。しかしSQUAIRは、家電量販店にはおかず、高級ブランド店である「バーニーズニューヨーク」や「リステア」といった店舗での販売をしており、好評だという。

 「iPhoneは非常にたくさんの台数が販売され、ある意味で没個性化しています。つまりiPhoneはもう差別化要因にはならないのです。そこでケースは重要なアイテムに成長してきました。しかしiPhoneケースにいくらかけるか、という文化がないのが現在だと思います。文化がないから、専業ブランドもない。高級ファッションブランドがiPhoneケースを作るパターンはありますが、高級iPhoneケースの専業メーカーはまだありません。ここが狙いだととらえています」(後藤氏)

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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