つながった世界で
国家はどう変わるのか

私たち(著者)2人は、それぞれ違う立場から(シュミットはコンピュータ科学者と企業経営者として、コーエンは外交政策と国家安全保障の専門家として)、この問題に答えを出そうとした。

答えがあらかじめ決まっているわけではないことは、もちろん承知している。国家、市民、企業、組織が、新たな責任をどのように果たしていくかによって、未来もまた変わっていくのだから。

過去には国家の野望について、国際関係論の研究者が白熱した議論を戦わせたこともある。

「国家はいつの時代も権力と安全保障を最大に高めることを主眼とした内外政策を維持する」という見方もあれば、「貿易や情報のやりとりといった要因が加わるにつれて、国家の行動も変わっていく」という見解もあった。

だが、いずれにしても国家の野望それ自体は今後も変わらない。

変わるのは、その野望をどのように実現するかという考え方だ。