――なるほど。憲法を語ることは、国を愛することにもつながるわけですね。

 そうです。もともと日本人の愛国心が強いことは、統計からも明らかです。逆に言えば、愛国心がなければ憲法なんてどうでもいい話。国を愛することは当事者意識を持って国の将来を考えることであり、当然ながら憲法論議も関わってきます。

 その意味でも、安倍首相が改憲論を盛り上げたというより、日本人が安倍さんのように国家ビジョンを語り、実行できる人をリーダーに求めたからこそ、安倍政権が生まれたという言い方もできる。もちろん、「憲法のどこを変えるべきか」「どこを変えるべきでないか」をきちんと議論する必要はありますが、私は期待しています。

むしろ憲法改正を遠ざける
96条の先行改正には反対

――安倍政権は昨年の参院選の前後から、憲法改正の手続きを定めた第96条を先行して変えようとしました。国民からは、「国を挙げて議論を尽くす前に改正手続きのハードルを下げようとするのは、おかしいのではないか」という批判が出ました。そのこともあり、一時96条の議論はトーンダウンしましたが、足もとで安倍首相は、再び96条改正に意欲を示す発言をすることもあります。この一連の流れについてはどう評価しますか。

 率直に言って、96条の先行改正には反対です。それは逆に、憲法改正にとって遠回りになると思えるからです。安倍首相は憲法改正を改革の本丸と捉え、その手段として96条の改正から入ったほうが早い、と思ったのでしょう。

 96条の先行改正については、当初から自民党の中でもかなり意見が割れていました。最初に提案したのは古屋圭司・国家公安委員長で、それに安倍首相が興味を持ったと聞きます。

 しかし、もともと96条改正を唱えていた大手新聞社などが世論調査をやったところ、反対意見が多くなってしまった。これは安倍首相にとってショックだったのでは。それからあまり、96条の先行改正を口にしなくなった印象があります。その後は「必ずしも96条の先行改正ありきではない」という方針へシフトしました。