みんなの党の渡辺喜美代表が、会社経営者から巨額な資金を借り入れていたことが明るみに出て、その借入理由、使途、返済状況などについて各方面から厳しく追及されている。
この一件により、渡辺代表はもとより、みんなの党は結党以来の危機に直面した。
一方、みんなの党と共に「第三極」を牽引してきた日本維新の会も2年前とは比べものにならないほど存在感を失うに至っている。
かつては飛ぶ鳥を落とす勢いを示し、連携相手として他党からもてはやされた橋下徹大阪市長も神通力が失われた。それは先月実施された出直し選挙で改めて確認され、一段と支持離れが加速された。投票率わずか23%、得票37万余票。この結果は有権者が橋下氏の政治手法に猛省を促しているという印象を受ける。
なぜ渡辺・橋下両氏の勢いは衰えたか
行政・官僚改革への姿勢に変化
絶頂期の渡辺氏と橋下氏に対する有権者の格別の期待は、ほとんど同質のものであったと当初から私は考えてきた。
それは他でもない行政改革、官僚改革に関する他を圧倒する実積と、それによる信頼と期待であった。より具体的に言えば、消費税の増税の前の「税金のムダ使いの根絶」という国民的要求を背景にしていた。
その原点、初志を2人が忘れるはずはない。だが有権者から見れば、優先順位が大きく後退し、忘れたように見えるのが、勢いが衰えた最大の理由だろう。
渡辺代表に資金を貸した会社経営者も、支援した理由、そして失望した理由が行政改革や官僚改革に対する姿勢にあったことを強調している。
昨年末にみんなの党から分離独立した「結いの党」も不祥事が起きてはいないものの、原点がぼけてきている印象は否めない。
再確認すべきは、行政改革、官僚改革への要請が弱まっているわけではないこと。有権者、納税者の熱意が減衰しているわけでもない。逆にその要請は底流で一層水量を増していることだ。「増税の前にやることがある」というスローガンにどれほど多くの人が強い期待を抱いたか、もう一度思い出してほしい。変わったのは民意ではなく、政治家や政党のほうである。
折から4月1日に、消費税増税が実施された。増税の前にやることをやらせずにその実施を許してしまったのである。