安倍晋三首相が急ぐ解釈改憲については、このところ与野党内からの慎重論だけでなく、有力なOB議員からも異論反論が噴出している。
そして、ついに現職閣僚からも「待った」がかかった。
谷垣法相が記者会見で語った
安倍首相の解釈改憲への反対論
3月7日、谷垣禎一法相は、閣議後の記者会見でこう語った。
「憲法解釈があまりに不安定だと国家のあり方そのものも動揺してしまう。憲法解釈は極めて安定性がある必要がある」
「特に憲法解釈は国民の理解を取り付ける必要がある。手順段取りを踏むことが大事だ」
これは、谷垣氏が集団的自衛権の行使容認を、憲法改正によるのではなく、憲法の解釈の変更によることの是非を記者から問われて答えたものだ。
この発言は解釈改憲に対する慎重論というより明確な反対論に聞こえる。
谷垣氏は自民党の前総裁。かつては宮沢喜一元首相派「宏池会」のプリンス。その温厚で誠実、芯の強い人柄、バランス感覚が宮沢氏に気に入られ秘蔵っ子と言われた。
彼は昨年の特定秘密保護法についてはあいまいな態度を批判され「谷垣は終わった」ともささやかれてきた。
しかし、浮き足立って解釈改憲に突っ走る首相を見てついに堪忍袋の緒が切れたのだろう。ここで黙っていては、これまでの政治生涯まで水泡に帰すると感じたのかもしれない。