

1月に開催されたCESで、Xperia Z1sと同Z1 Compact、そしてCoreを発表済みだった、という事情はあるのだろう。しかしサムスン電子が先進国の買い換え需要に備え、保守的ながらも大々的にギャラクシーS5を打ち出してきていたのに対して、ソニーはあまりにプレゼンスが小さかった。
MWCでの印象を総合すると、もはやソニーはグローバル市場を重視しておらず、日本国内の需要だけでしのいでいこうと考えているのではないか、という印象を受けた。実際に、Xperiaの国内販売は極めて好調で、もはや「Android=Xperia」という状態に近づいている。おそらく今年はこの流れが加速することだろう。
ソニーにとっての「ホーム」でもある日本という特定市場で、一定の規模の需要が期待できるなら、海外のことを考えなくてもやっていける――実際、ソニーの開発者の知人と話していても、少なくとも今年は日本市場重視だという話をしていた。
それはそれで、正しい判断だと思う。しかしそうだとしたら、ソニーはバルセロナへ何をしに来たのか、やはりよく分からない。
かたや富士通は、MWC2013とまったく同じようなブースだった。場所も大きさも、トーン&マナーも、すべて同じ。フランス市場に投入する「らくらくスマートフォン」の新機種も、キープコンセプトであるがゆえに、昨年と同じような印象である。率直に言って「既視感」そのものだった。
たかだか2年でHTCの栄枯盛衰がはっきりするほど、変化の激しいスマートフォン業界で、昨年と似たような展示ということ自体が、まず驚く。正直、時間が止まっているかのような印象だ。
らくらくスマートフォンは、フランスでは一定の評価を得て、新機種の投入や拡販が続いているという。それ自体は喜ばしい話だが、そこからの広がりはないし、国内でもシェアを取れていない。また、国内にはARROWSがあるが、Xperiaに後れを取っているのは言わずもがな。