病院の受付写真はイメージです Photo:PIXTA

医療費には地域格差が存在する。西日本が東日本より高額な「西高東低」現象は、病床数などの医療資源と関連していた。この格差により、高医療費の地域の医療費を、医療費が低い地域住民の保険料・税金が支える不公平な構造が生じている。要因を探ると、全国の大学の医学部配置と、これにともなう医療資源の偏在が明らかとなった。※本稿は、林 行成『知っておきたい医療リテラシー 日本の医療の効率と公平を問う』(日本評論社)の一部を抜粋・編集したものです。

人口1人当たりの医療費は
東日本よりも西日本が高い

 医療費を都道府県別に比較するとき、格差が存在すると思いますか?そして、格差があるとすれば、その格差はどうして生じるのでしょうか?

 医療費を単純に47都道府県に分解すれば、人口の多い東京都や大阪府の医療費がその他の地域よりも高くなります。そこで、47都道府県における「人口1人当たりの医療費」で比較してみることにします。

 図2-1は、2022年度における1人当たり医療費を、都道府県ごとに北海道から順番に沖縄まで並べたものです。1人当たり医療費は全国平均37.4万円ですが、最も高い高知県で47.9万円、最も低い埼玉県で33.2万円と、大きな地域格差の存在がわかります。

図2-1同書より転載 拡大画像表示