あなたがチャートを見つめているその瞬間、プロは何を考えているのか?『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』は、その思考をクイズ形式で体感できる一冊です。発売以来、投資初心者からベテランまで、熱烈な支持を集めています。著者は、日本株のファンドマネジャーとして2000億円超を運用してきた楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から、本書に登場する「勝てるチャートの読み方」を紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
三角もちあいの心理戦を読む
チャートを眺めていると、よく見かけるのが「三角もちあい」と呼ばれる形。値動きの幅がだんだん狭くなり、株価がどちらに動くかを市場全体が探っているような状態です。

1日の値動きに現れることもあれば、数週間~数か月かけて形成されるチャートにも現れます。
窪田さんは、この三角もちあいでのトレードについて、こう説明します。
「三角もちあいのトレードでは、買いが優勢になって上放れるか、売りが優勢になって下放れるか、はっきりするまで辛抱強く待つ必要があります。そして、買い方売り方のどっちが優勢かはっきりした瞬間にトレンドに乗る必要があります」(『株トレ』より)
私たち個人投資家が陥りがちなのは、「この株はSNSで話題だから上がるだろう」「この株は、もうダメそう」といった先入観による投資判断です。
けれど、窪田さんは「トレンドが出るまで辛抱強く待つ」と強調します。そして、トレンドがはっきりしてから動く。この考え方こそが、本書で強調しているチャートを使ったトレードの鉄則です。
チャートに現れる「勢い」の瞬間
では、どんなタイミングで動き出せばいいのでしょうか?
本書に掲載されているチャートを1つ紹介します。みなさんは、このチャートを見て、どんな投資判断を下しますか?
買い? 売り? それともここは様子見?
『株トレ』より
チャートからわかること
このチャートは、三角もちあいが収束したあとに、株価が勢いよく上放れした局面を示しています。
注目すべきは、株価の上昇だけでなく、「売買高の急増」です。
売買高は市場の「人気バロメーター」。売買高が増えたということは、多くの投資家が「今がチャンス!」と動き出した証拠です。
実際、このあと株価は大きく上昇しました。
『株トレ』より
売買高が急増している時は、たいてい何かしらの好材料が出ています。しかも、売買高が急増してから日が浅いほど、新しい材料が出たばかりの可能性が高く、トレンドの初動に乗るチャンスです。
三角もちあいのチャートでは、「どちらに動くか」が明確になった瞬間こそが勝負どころ。そのとき、勢いがついた方に素直に乗ることが、トレードの勝率を高める近道です。



