2020年よりも翌年の2021年
「祭りの後」も成長できるか

――他の観光立国と比較した場合、日本の観光業が長けている部分と足りない部分にはどういったものが挙げられるか?

 足りない部分を言えば、設備投資は全く足りていない。過去20年で比べると、アジアの他の観光地の方が施設ははるかに更新され、進んでしまっている現状がある。

 海南島やモルジブ、バリなどはみなそうだ。日本のスキー場がいい例だが、リフトなどが定期的に新しくなるヨーロッパのスキーリゾートとは異なり、日本ではバブル時代に建てたものを未だにメンテナンスしながら使っている。バブル経済崩壊後、とりわけ日本の地方都市では、観光産業における設備投資が、海外と比較した場合に極めて少なかった事実は否めない。

 設備投資ができない理由は投資家や銀行が入ってこないからであるが、なぜ彼らが入ってこないのかについて考えると、やはり収益を出せていないことが一番大きな問題なのだ。

 昔と比較すれば観光業界に対するプライオリティは高くなったが、まだまだ競争力のある産業にも、地方の経済を担うという産業にもなりきれていない。そういう意味では今がちょうど過渡期にあると思う。

――過渡期を迎えた観光業界にとって、6年後の東京五輪は業界活性化の起爆剤となるのか?

 東京五輪の有無に関係なく、観光産業はこれからも伸びるものと確信している。オリンピックによって観光産業をより大きくするための目標が変わったわけでもなく、また変える必要もないだろう。

 しかし、業界内に存在する「やらなければならないこと」が、6年後に東京五輪が開催されることによって、それまでに実施すべきだという時期が設定できたことは大きい。

 これまで業界内では漠然とした目標が議論されていたのだが、2020年に五輪が開催されることで、それまでに何と何をすべきかという点で業界内のコンセンサスが得られたと感じている。

 2020年の数字よりも、オリンピック後の2021年に観光産業がどれだけの規模になっているかが重要で、「祭りのあと」にも観光業が成長を続けられるかどうかに注目したい。