ソニーで起きていることは
特別なことではない

――ソニーのエレクトロニクス事業はなかなか上向きません。

 それはソニーに限った話じゃない。世界のエレクトロニクス産業を見ていけば、ソニーだけじゃないという事がわかるでしょう。フィリップスも苦境に陥って、家電事業から撤退していった。ソニーだけが特別なのではなく、普通のことが起きていると感じている。

――今、近藤さんが研究されていることは、ソニーにいてはできなかったことなのでしょうか。

 そうでしょうね。日本のエレクトロニクス産業が右肩上がりのときは、各社みんな利益を出して、一時代を築いた。

 ソニーだけではなくて、下降局面になって従業員数が10万人を超える規模だと、従業員の雇用を維持するためにも、それだけの売り上げを保たないといけない。ハイエンド商品だけではダメだし、薄利多売のローエンドモデルだけでもダメだ。これは宿命だ。もし企業規模が100人程度の規模なら話は変わるが……。

 ソニーもジレンマを抱えているのでしょうね。大きな船が沈んでいくときに、小さい船を次に乗るべき船として、大きく育てていかないといけない。フェードアウトするビジネスがあるとき、同時にフェードインするビジネスを育てていかなければならないのは、ソニーだけではなくて、どの企業にも言えることだ。

――ソニーから出ることは勇気のいることだったのではと思います。

 新しい産業をつくりたいと思っている。日本にテレビ事業の第二幕で勝てる映像産業を残したい。独立してでも、だれかがやっていかないといけないというのが、今のモチベーションですね。

――今研究されている映像技術は、日本メーカーだけではなくて、それこそ世界中のテレビメーカーがほしがっているのではないでしょうか。他社とのアライアンスなど、将来展望でお話しいただける事はあるのでしょうか。

 メーカーとのアライアンスは……、残念ながら話せることはなかなかないね(笑)