省令案の変更を
喜んでよいのだろうか?

 この数年は、日本の多くの人々にとって、少しずつ生き難さが増すばかりの毎日ではなかっただろうか? 「真綿で首を絞める」という言い回しを実感するような日常ではなかっただろうか? パブコメが省令案を変えてしまったという成果からは、その息苦しい流れを変えられる可能性・状況を打開できる可能性を読み取ることが可能だ。

 しかし筆者の心中には、「確かに、素晴らしい成果であることは間違いないんだけどなあ……?」という疑問もある。

 一時の「ぬか喜び」に終わってしまう可能性を、誰が否定できるだろうか? 少なくとも、手放しで喜ぶことはできない。油断はできない。

 そもそも、実現されたのは、当たり前といえば当たり前のことばかりではないか。成立した法律の条文が、審議のプロセスの中で加えられた修正ともども尊重されること。「守られないもの」と相場が決まっている附帯決議ではあるけれども、必要あって行われたはずの附帯決議の内容が尊重されること。国会で繰り返し政府が行った「運用は変えない」という答弁が反故にされず、その内容が実現されること。国会という立法の場のルール・民主主義の基本的なルールが尊重され、その結果が行政においても尊重されること……。そうではない省令案が当初提示されたこと自体に、大きな問題があったと言うしかない。

 さらに言えば、政府答弁の言う「運用は変えない」が本当なのであれば、そもそも生活保護法を改正する必要はなかったはずだ。政府は「運用は変えない」と言いつつ、「運用を変えたい」から生活保護法を改正すべく働きかけたのである。その「運用を変えたい」は、改正生活保護法の成立後に、「運用を変えよう」となるのが当然の流れであろう。その流れを考えれば、当初の省令案は出て来て当然なのである。

 もう一度、当たり前のことが当たり前に行われる流れを作らなくてはならないのではないだろうか? 省令案1つを食い止めたくらいで喜ぶわけにはいかないのではないだろうか?

パブコメに見る
省令案への賛成意見は?

 寄せられたパブコメの内容や、その内容に対する厚労省の見解は、「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)に対して寄せられたご意見について」として公表されている。