5月13日、NTT(持ち株会社)が決算と同時に発表した戦略に、社内外で衝撃が走っている。NTT東西の変革のみならず、グループ再編を狙うという意思が透けて見えるからだ。

5月13日の決算発表会で、NTT東日本と西日本の「卸売り」化を発表したNTT(持ち株会社)の鵜浦博夫社長
Photo by Takeshi Kojima

「なんだか最近、ざわついている」。NTTドコモの夏の新商品発表会では、有名俳優を起用したそんなキャッチコピーのコマーシャルが流されていた。これまでのドコモとは違うイメージを打ち出す狙いがあったが、むしろざわつきはNTTグループ社内にあった。

 というのも、NTTが乾坤一擲の“大転換”に打って出たからだ。NTT東日本と西日本が展開している光回線事業を、「個人向け」から「法人向け」ビジネスへ転換することを明らかにしたのである。

 NTT東西は2001年より、光回線サービス「フレッツ光」の提供を開始。ブロードバンド時代の到来を追い風に、契約数は合計1805万件にまで達した。

 しかし、12年度からは急減速し、13年度も4%成長にとどまっている。次世代高速通信「LTE」サービスの普及などモバイルの影響を受けたためだ。

 そこで、フレッツ光を自社で個人に売るモデルから、インフラとして他社に販売するという卸売りモデルへと大きくかじを切った。

 これにより、大手キャリアをはじめ、インターネット接続事業者(ISP)、仮想移動体通信事業者(MVNO)といった通信設備を持たない会社まで、自社ブランドで光回線を提供できるようになる。

 価格など具体的な条件は今夏に提示するため明らかではないが、先の企業がモバイルと光回線をセットで割安販売することになろう。