背景には、NTTをめぐる規制見直しの議論がある。NTTはもともと公社だったため、ライバル他社との公平性を図るため、地域の通信事業をNTT東西に、長距離・国際事業をNTTコミュニケーションズに、モバイル事業をNTTドコモに、そしてシステム構築をNTTデータが担うように機能を分割、各社の統合は行えないよう規制されている。

 現在、総務省では東京五輪の開かれる20年に向けて、通信業界の競争施策と共に、そうしたNTTの在り方について見直し議論をスタートさせている。その中でとりわけ注目されているのは、規制を緩和することでドコモとNTT東西が組み、「セット割引」を可能にするというもの。これには他のキャリアが「公正な競争を阻害する」と猛反発していた。

 ところが、NTT東西が卸売り会社になれば、規制の枠組みを変えることなく、反発をかわすことができる。NTTの光回線はドコモも含めた他社が利用できるようになるからだ。ドコモの加藤薫社長も、セット販売について「前向きにかつ具体的に検討していきたい」と話している。

 だが、ここで注目すべきは、セット割引ではない。実は、今回の大転換は、NTTの長年の課題を解決する狙いがありそうだ。それは、実質的にNTTグループの組織再編を行ってしまうことだ。

卸売りへの転換で
法人はNTTコム個人はドコモに

 現在、NTT東西の事業は、光回線の販売がメインである。ここ数年で法人営業も強化してきたが、基本は、個人向けの光回線の営業やそれに付随するサービス開発が事業の主体である。

 だが、卸売りへの転換で、NTT東西の“解体”にすら発展する可能性が出てくる。というのも、卸売りは個人向け営業が必要ないからである。