5月15日の安倍晋三首相の記者会見以来、集団的自衛権問題についての公明党の対応に一段と関心が集まっている。

 その中で、公明党の支持母体である創価学会が報道各社の取材に応えて明確なコメントを発表した。

 このコメント(18日付東京新聞)では、2つの重要な意思が表明されている。1つは、「憲法第9条についての政府見解を支持」していること。もう1つは、「集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、本来、憲法改正手続きを経るべきである」と言っていることだ。

 ここで「本来」と言う言葉はいわずもがな。例外を認めると誤解される恐れがある。もしもこれが妥協を予定した小細工ならコメント全体の信頼が失われる。よもやそんなことはないだろう。

「集団的自衛権」と「集団安全保障」
この2つを混合させていないか

 安保法制懇の報告と首相会見後の報道機関の世論調査は、各社によってあまりにも大きな隔たりがあって戸惑うばかりだ。

 例えば、集団的自衛権の行使について、賛成か反対かの中間に「限定的行使」を入れれば、多くの人がそれを支持する。それと全面行使賛成とを合わせて「集団的自衛権行使賛成」の数字を見出しとすれば、6割とも7割ともなって、実感とはかなり離れたものになる。

 その上、この問題はきわめて難解で、正確に理解している人は少ないと言ってもよい。

 1991年の湾岸戦争のときは、初めての論争だったせいか、当初は現職国会議員でも理解している人はわずかと感じたものだ。特に集団安全保障との違いは判りづらかったようだ。

 言うまでもなく、集団的自衛権と集団安全保障は全く異なる概念である。