「やっぱダメだな日本の医療業界」――。ホリエモンこと堀江貴文氏がこうつぶやいたのは、5月初旬のこと。病院で1時間以上待たされたことへの苦言で、フォロワーの間で議論を呼んだ。同時期に厚労省が、紹介状を持たずに大学病院を受診した場合、初診料を患者の全額負担とする方針を固めたことが報じられ、世間では批判的な声が上がった。我々一般人にとって、病院とは最も頼り甲斐のある場所である一方、意識のギャップを感じさせられる場所でもある。多くの人が、普段通っている病院に不満や課題を感じているように見えるのは、なぜなのか。「よい病院」「悪い病院」の正体を、患者目線で徹底解析する。(取材・文/プレスラボ・鎌田和歌)
「仕事に間に合わないから退散」
診察待ちに苦言を呈したホリエモン
「慈恵医大病院で腎臓結石破砕から数ヶ月後のアフターケア診断。10:30予約でピッタリに行ったのに未だ診察待ち」
ホリエモンこと堀江貴文氏が病院でこうつぶやいたのは、5月9日11時52分のこと。この時点で1時間20分以上、待たされていたことになる。結局堀江氏は、「次の仕事に間に合わないので診断受けずに1080円払って退散」したようで、「やっぱダメだな日本の医療業界。安かろう悪かろう。医療保険制度の改革も必要だし、病院経営も改める所多し」とも続けた。
フォロワーから賛同するコメントが寄せられると、「人の時間を何だと思ってるんだ?って事。寿命を伸ばしに来てるのに待ち時間で人生を浪費するという矛盾」など、堀江氏らしいコメントを返している。
反対意見として、「病院の予約は時間帯の予約だからその時間に入れるわけではない」「お金があるなら金持ち向けの病院へ行けばいい」といった内容のコメントも寄せられた。
堀江氏は、その後自身のブログでもこの件について投稿し、「現在の混雑状況をウェブで見られたりとかメールやLINEとかで診察可能な時間を教えてくれたりとか」やれることはたくさんあると言及。「今回も物凄い待たされてストレスだったので、なんとかするベンチャー企業立ち上げようと思う」とも綴っている。
大学病院の待ち時間が長い、というのは今に始まったことではないが、確かに行ってみると驚くほどの人が診療を待っている。1時間待たされるのはザラで、なかには「半日がかりで待って診療は3分」と表現する人すらいる。
堀江氏が前述のようなつぶやきをしていたまさにその日、朝日新聞で「紹介状なしの大病院受診、初診料を患者の全額負担案」という記事が掲載された。受診のハードルを上げるのは、医師が重症患者に専念しやすくなる状況をつくるためというのだ。