燻製ニストの佐藤さんは目黒区西小山にあるラウンジを借り、木曜日と第三日曜日の夜、「燻製バー」を開いている。そこで熱狂的な燻製マニアたちと接するうちに、何となくそう感じるようになったのだという。

「調べてみたら、ほかにそのような協会がなかったんですね。だったら自分で作っちゃおうかと。せっかく燻製ニストを名のっているのに、先に誰かに作られちゃったら、後悔すると思ったんです」

「協会ってそんなに簡単に作れるものなんですか?」

「ええ。一般社団法人なので、もう一人の役員は父にお願いしましたけれど」

「ということは2人だけ?」

「まだ立ち上げたばかりですから。会員はこれから募ります」

 見た目も話し方も、かなりのんびりした感じの方である。

事務に向いたのんびりした性格なのに
パン屋になりたくて仕方なかった

 それでも、行動は意外なほど素早かった。

「思い立ったのはちょうどこの連休ぐらいで、それから急いで定款を作って……」

「定款も、そんなにすぐに作れるものなんですか?」

「以前、会計事務所に勤めていて、そういう経験があったものですから」

 会計事務所の前はメーカーで事務職をしていた。

「主に営業事務と経理を。たぶん、向いているのはそっちだと思うんです。でも、好きなのは燻製だったんですよ」

 最初は平日に仕事をしながら、週末に燻製バーをしようかと考えていた。

「だけど、仕事と燻製の両立は無理じゃないかと夫に言われまして。それで、会社の方は辞めて燻製一本に絞ることにしたんです」

 現在はバーのほか、金曜日の昼にランチも提供しつつ、イベントで燻製をふるまうなどしている。

 なぜ、週に1、2回しか店を開けないのか。家賃の問題や主婦業との両立を考えて、ということもあるが、それ以上に大きかったのは、次の点だった。