では、ミドル男性の頭部からプーンと漂ってくるニオイの正体とは? (1)汗臭、(2)アブラ臭、(3)皮脂臭の3つに大別される体臭の中でも、ミドル男性特有のニオイは(2)が占めるウエートが高いそうだ。

「アブラ臭を発する成分の中から、ミドル男性特有のニオイの元となる原因物質を特定するのが次の課題でしたが、やはりこのプロセスが最も大変でしたね。人間の体臭には、数百にも及ぶニオイ成分が入り交じっていますから。それらを被験者から採取し、特殊な機器で成分を1つ1つ分別し、私たちが直接嗅ぎ取って分析を進めていきました。こうした作業を4年以上も続けて、ようやくミドル男性特有のアブラ臭の原因物質を突き止めたのです」(原さん)

 ただでさえニオイに敏感な人たちなのだから、ひたすら嗅ぎ続ける作業は壮絶だったことだろう。五感を研ぎ澄ませて違いを把握するため、1日の作業を終えると疲労困憊だったという。

 ともかく、その苦労は報われた。真犯人の名は「ジアセチル」で、案の定、30~40代に差し掛かると増加傾向を示すことが確認されたという。

「沸点が低い『ジアセチル』は拡散しやすく、微量でも臭いやすいという特徴があります。しかも、皮脂臭(中鎖脂肪酸)と混ざり合うとさらに不快なニオイになる。これがミドル世代特有のアブラ臭だったわけです」(原さん)

 単なる汗臭でもなく加齢臭でもない独特のアブラ臭――。原さんたちが突き止めた「ジアセチル」を原因とするこのニオイを、マンダムは「ミドル脂臭〈ししゅう〉」と命名。続いて研究はその抑制法を探るステージへと移っていった。