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おもてなしで飯が食えるか?
【第3回】 2014年7月3日
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山口英彦 [グロービス マネジング・ディレクター、ファカルティ本部長]

「割愛」で顧客満足度を業界トップクラスにできる!?
~おもてなしで頑張らない

 ここまでの話を<図>にまとめてみました。

 どの業界のサービスも、このように定型的な部分と都度変動する部分から構成され、後者の変動部分は4つのタイプの営みに分けられます(なお実際には、大抵のサービスは2つ以上のタイプが混在しています)。

 この後の議論がしやすいよう、それぞれに以下のような呼称をつけてみました。

(1)おもてなし型:
特別に大切な顧客に対して、認識している顧客の状況や好みから「こうしたら喜んでもらえるのではないか」との思いを込め、先回りして提供する営み。

(2)プロフェッショナル型:
顧客の状況や希望を開示してもらった上で、顧客それぞれに合わせた個別の方法で内容を設計し、問題解決を助ける行為。弁護士・税理士・医師などの士師業のサービスが典型的。

(3)オンデマンド型:
顧客が表明した選択に沿ってサービス内容を決めるやり方。但しプロフェッショナル型のような個別設計ではなく、顧客は与えられた範囲で選択ができるのみ。同様のニーズを表明する顧客がいれば同じ対応がなされる。(わかりやすい例を挙げると、鮨屋でお好みでの注文)

(4)気遣い型:
多数の顧客がより便利・快適にサービスを受けられるよう、サービス内容や環境を状況に合わせて変更させるもの。(例えば天候や混雑状況に合わせながら、店舗施設内の空調の効き具合を変えるなど)

 しつこいようですが、おもてなしは変動性のあるサービスの中でも、「広く遍くではなく、特別な誰かに対して」および「こちらからニーズを先回りして、感動を目指す」という2点においてユニークです。「気遣い型」や「オンデマンド型」はどの顧客にも平等に提供されるものですし、「プロフェッショナル型」や「オンデマンド型」は顧客の要望を明示してもらい、それを満たすことで納得を目指します。

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山口英彦[グロービス マネジング・ディレクター、ファカルティ本部長]

東京大学経済学部卒業、ロンドン・ビジネススクール経営学修士(MBA、Dean's List表彰)。 東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、ボストンコンサルティンググループ等を経て、グロービスへ。現在は同社の経営メンバー(マネジング・ディレクター/ファカルティ本部長)を務めながら、サービス、流通、ヘルスケア、エネルギー、メディア、消費財といった業界の大手企業クライアントに対し、戦略立案や営業・マーケティング強化、新規事業開発などの支援・指導をしている。また豊富なコンサルティング経験をもとに、経営戦略分野(新規事業開発、サービス経営、BtoB戦略など)の実務的研究に従事。米国のStrategic Management Society(戦略経営学会)のメンバー。 主著に『法人営業 利益の法則』(ダイヤモンド社)、『サービスを制するものはビジネスを制する』(東洋経済新報社)、『日本の営業2011』(共著、ダイヤモンド社)、『MITスローン・スクール 戦略論』(共訳、東洋経済新報社)。


おもてなしで飯が食えるか?

オリンピック招致の最終プレゼンを契機に、各所で注視されている「おもてなし」。日本人の細やかな心づかいを製品、サービスに反映させて収益向上につなげようと考える企業は多いと思うが、そこに落とし穴はないか?グロービス経営大学院の山口英彦が近著『サービスを制するものはビジネスを制する』のコンセプト等も反映させながら問いかける。

「おもてなしで飯が食えるか?」

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