――樋渡さんの発言の中に、「市民価値」という言葉がよく出てきますが、この市民価値とはどういうものですか?

 顧客価値とニアリーイコールです。だから「顧客がどれだけ喜んでくださるか」っていうことですよね。それはCCCの言葉から引っ張ってきましたけれど、よく一般の自治体では「市民福祉」っていう言い方するんですね。それじゃ意味分からない。それよりも市民価値という場合には、例えば市民一人当たりの所得だったり、あるいは市政に対する好感度だったりが伸びるようにする。それが僕の役割だと思います。

評価の指標は市民1人当たりの所得

――さまざまな政策を打ってこられたわけですが、それぞれの成果あるいは行政全体の評価の基準をどう考えますか。一般的に言う自治体というと、経常収支比率や実質公債費比率などが、頭に浮かびます。

 現在の人口構成を考えれば、人口が減っていくのは仕方ないと思っているんです。ですから、僕の指標は市民の1人当たりの所得を増やすことです。その場合、感情で物を言っちゃだめだと思うんです、僕らプロフェッショナルが。企業は売り上げとか利益で企業価値が測られる。我々は恐らく税収とか、あるいは市民1人当たりの所得で、それを測らなくてはいけないと思うんですよ。

 もちろん「住みやすさ」とかでもいいんですけれど、それ以上に僕は赤ちゃんからお年寄りまで含めた1人当たりの所得だと思っているんです。図書館でも病院でも、そのための手段としての政策で、1人当たりの所得を増やすことが、最終的な指標ですね。そう考えると、人口が減るのってそう悪いことではないんです。1人当たりの所得を計算するときの分母が減るから。だって人口増やせって言っても、それは20、30年かかる。

 もしいま、出生率が上がっても、その赤ちゃんたちが生産年齢人口に達するまでもすごい時間かかります。だから、いまできることをやるというのはすごく大事で、これ繰り返しになりますが、そのことを感情じゃなくて数字で表す。だから、よく物議を醸すところですけれど、やっぱり決定権は我々に委任してほしいんですよ。僕らプロなので。それでだめだったら、4年ごとの市長選で審判を下してください、ということだと思います。

――政策は商品だっておっしゃいましたが、自治体の関係者にはそういう言い方を嫌う人も多いんじゃないですか。

 いや、もう市長会とか全部そうです。