こんにちは、「電子書籍フォーキャスター/World Business Trend Tracker」の吉田克己です。前回に続き、電子書籍マーケットの将来予測(フォーキャスト)をお届けします。第2回は、電子書籍分野で先行する米国の様子を見ていきます。

日本は、米国に遅れること
だいたい3年で本格化する

 1990年代後半からインターネット(以下、「ネット」と略)の世界に関わられていた読者には、「そう言われてみれば……」という首肯してもらえると思いますが、ネットも含めてデジタルの世界では、日本は米国に遅れることだいたい3年くらいで本格化する感があります。

 筆者がネットに関わり始めたのは1997年の春からです。ブラウザは当時、日本でもNetscape Navigatorが人気で、悪役視されがちだったIEは後発のチャレンジャーだった時代です。ネット書店も紀伊國屋、ブックサービス、TRC(図書館流通センター/bk1の前身)の3社しかありませんでした。

 米国でNetscape Communicationsが設立され(設立当初の社名はMosaic Communications)、Netscape Navigatorの無償配布がはじまったのが1994年、Windows 95の発売と同時にInternet Explorerがリリースされたのが95年8月、iMacの発売が98年5月という具合です。

 スマートフォンについても、BlackBerryを中心に米国で急速に普及しはじめたのが2004年といわれており、iPhoneが米国で発売されたのが07年6月、そして日本のスマートフォン普及率は11年に急伸しています。

 電子書籍の世界に目を移すと、09年のクリスマス商戦でAmazonのKindle(キンドル)が爆発的に売れ、ソニーのReaderなど、電子書籍リーダーが全般的に好調でした。

Amazon Kindle is the Most Gifted Item Ever on Amazon.com(2009.12.26)

Kindle、創業以来最もよくプレゼントされた製品に――米アマゾン、クリスマス商戦で声明(2009.12.28)

 これらの傾向を鑑みると――日本では2012年が実質的な電子書籍元年になる可能性は大いにあると推定できます。