含んだ言い方を、内藤はした。「ただ、再建計画が履行できないのであれば、追加の支援そのものが難しい」
赤字会社への支援は、再建計画頼みだ。業績が計画通りに推移していれば問題ないが、下振れすれば次の支援には慎重にならざるを得ない。帝国航空のような、土俵際に追い詰められた会社であれば、なおさらである。
「再建計画が甘かった、と」
きいた半沢に、「その通り」、と内藤はきっぱりといった。
「審査部がその再建計画を妥当と認めたことが役員会でやり玉にあがってね。しかも、過去数年間のうちに、帝国航空は二度、計画を出しては下方修正している。取り組みが甘いのではないかといわれても仕方の無い話だ」
「しかしですね、再建計画を下回る業績しか上げられないのは帝国航空の問題です。ウチで担当したとしてもやりようがありません」
「ごもっとも」
半沢の反論を、内藤は予想していたに違いない。「そこで君には、帝国航空がこれから着手する修正再建案をフォローし、信用できる形にまとめてもらいたい。それが役員会の――いや、中野渡頭取からのリクエストだ。やってくれるな」
内藤に問われ、半沢はふうと長い息を洩らした。
「そもそも、受けるかどうか、私に選択権がある話なんですか」
「残念ながら、君に選択権はない」
半沢は、思わず天井を仰いだ。