キムタクブランド健在を
証明した「視聴率」って…

 木村拓哉主演の人気テレビドラマ『HERO』(フジテレビ)が、13年ぶりに「月9」に帰って来ました。7月14日の初回放送は平均視聴率が26.5%と、今年スタートした全ドラマの中でも最高を記録したそうです(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 昨年話題となった『半沢直樹』(TBS)の初回が19.4%、2011年10月の『家政婦のミタ』(日本テレビ)が同19.5%だったそうですが、01年に放送された『HERO』の初回は33.4%と、今回シリーズの数字を上回っていました。

 今から13年前の2001年は、まだ現在のようにネットのブロードバンド化も進んでいませんし、スマートフォンもありませんでしたから、テレビの影響力は今よりまだまだ強かったわけです。それを考えると、「スマホを見る時間が圧倒的に多い」という人が増える昨今において、テレビドラマがここ数年にない高視聴率を獲得するのは驚異的といえるでしょう。

 しかし、当然ながらこのドラマを見た人の数は、実際はもっと多いはずなのです。

 ビデオリサーチの発表する視聴率は、全国27地区6600世帯の中から選んだ家庭のテレビに機械を取り付け、いつ、どのチャンネルを見ているかを計測したものですから、要するに、録画や計測の対象とならないテレビで視聴した人の数字は反映されません。

 同社の調査が始まった1962年と今では、テレビの見方は大きく変わっています。高性能録画機が普及し、ドラマやアニメを時間のある時にまとめて見る人や、外出先で携帯電話のワンセグ放送を見る人も少なくないはずです。

 ところが、今も変わらず視聴率が活用されているのはなぜでしょうか。

 大きな理由は、視聴率がCMを流すスポンサーのための指標だからです。スポンサーが知りたいのは、いかにCMが見られているかであり、特に録画の場合はCMを速送りする人が多いので、わざわざ数字を取る必要がないと判断されるわけです。

 つまり、世に言う視聴率は「番組をCMと一緒に見た人の数」であり、決して、「番組を見た人の総数」ではないのです。このことは、業界の関係者以外には案外知られていないのではないでしょうか。