誰も知らない答えが、そこにある

 ダーネル博士は言います。

「まさか(ワディ・エル・ホルで)アルファベットの碑文がみつかるなんて、当時は考えてもいませんでした」

アルファベットはもっともっと東のシナイ半島で発達したもの、という言語学者の常識の中に彼は囚われていたのです。

「ナイル川の西側でアルファベットをみつけるなんて考えたこともありませんでした」

 その経験からダーネル博士は、もっと「周縁」を探せと、説きます。

「時代も場所も、これまでに知られている文化の中心から遠い周縁部に注目してほしいと思います。そこにたくさんの答えがかくされているからです」

 ほとんどの学者は、遺跡の多くある都市部を探します。記録の多くある時代を探し、大事件のあったイベントにのみ惹きつけられていきます。

 そして、そういった都市部の遺跡や記録に手掛かりがなければ、「その時代には何も起きなかった」と思い込むのです。

 しかし、アルファベットの原型は、エジプト人が支配しヒエログリフを使いこなしていた古代エジプトの都市部でなく、周縁部において生まれました。だから、いくら都市の遺跡を探しても、「答え」は見つからなかったのです。

「今回の発見のように、周縁地域を探せば、まだ誰も知らない“答え”が、そこにあるのだと思います」

 新しい答えは、周縁で生まれます。ゆえにまだ誰も知らない答えは、周縁で見つかるのです。

注:結局、文字のつながりは、ヒエログリフ→ワディ・エル・ホル文字→原シナイ文字→フェニキア文字→ギリシア文字→ラテン文字→現代アルファベット


参考資料
・「アルファベット 4000年のルーツ」Newton 2008年5月号

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