平成27から基礎控除が大幅に縮小

 相続税は、故人の現金や不動産などの財産評価額を合わせた遺産総額にかかりますが、そもそもいくら相続すると税金を納めることになるのでしょうか。
 ここで相続税を算出する際の基礎控除について確認しておきましょう。

 基礎控除とは、相続した財産から一定額を差し引いて税額を安くするしくみです。法定相続人の人数に応じて控除される額は大きくなりますが、平成25年度の大幅な税制改正で4割も縮小されることになりました。
以下の通りです。

×平成26年12月31日まで 5000万円+1000万円×法定相続人数

◎平成27年1月1日から 3000万円+600万円×法定相続人数

 実際に基礎控除の額を計算してみます。
 例えば、妻と子ども2人で相続人が3人の場合、現在は5000万円+1000万円×3人で合計8000万円以上の遺産に対して相続税がかかってきます。
 これが平成27年からは3000万円+600万円×3人=4800万円以上とぐっと低くなります。
 これまで相続税とは無縁だと思っていた人も他人事ではなくなってきました。

相続税の最高税率は55%に

 基礎控除の引き下げと同時に、相続税の最高税率は50%から55%に引き上げられます。
 財産が多いほど税率は段階的に高くなり、相続財産が1億円以下の人の税率・控除額はこれまでと同様ですが、2億円以下~6億円超に該当する人は変更があります。
 増税後の詳しい税率や控除額などの詳細は著書『新版 相続はこうしてやりなさい』で紹介していますのでぜひ参考にしてください。

 相続財産の中でも、不動産に関しては場所や優遇措置の適用によっても異なるので確認が必要ですが、地価が高い都市部に土地を所有していると、現金預金の有無とは別に土地だけでも税金がかかる可能性が高くなります。
 今回の税制改正で実際に課税される人が増え、税金の額が増える人も多くなる見込みです。

生命保険は一定額の控除あり

 最後に、相続税の対象となる資産についてざっと確認しておきましょう。

 故人の遺産は、「相続財産」と「みなし相続財産」に分けられます。
 簡単に言うと、生前に持っていたものが相続財産、亡くなった後にもらえるものがみなし相続財産です。

 相続財産は、預金、有価証券、不動産など。
 みなし相続財産は、死亡保険金、死亡退職金、被相続人が亡くなる前の3年間で贈与されたもの、弔慰金(非課税枠あり)など。

 死亡保険金や死亡退職金は、被相続人の死亡を原因として給付を受けることから、課税の対象となっています。
 ただし、死亡保険金や死亡退職金は、500万円×法定相続人の数までは非課税です。控除を適用できる生命保険は相続対策としての効果も高く、利用する人がたくさんいます。

 次回は、法定相続人ではない人が遺産相続するケースについて取り上げます。

(取材・文/佐藤祥子)


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