2014年3月期決算で対売上高営業利益率13.6%となり、自動車業界ナンバーワンの高収益企業となった富士重工業。同社は、5月に20年度を最終年度とする新たな中期経営計画を発表した。大躍進を果たした富士重のビジョンはどこにあるのか。
――中期経営計画の策定を始めた当初、経営幹部から上がってきた素案を、吉永社長が突き返したと聞きました。何がいけなかったのですか。
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前期はこうだったから今期はこうしよう。そういった既定路線をベースに将来計画を立てるやり方が染み付いていた。何度言ってもその思考回路から抜け出せないようだったので、私がA3用紙の紙ペラ1枚に「将来ありたい姿」について簡潔に書いて示しました。それが、今回出てきた中計の骨格になっています。
これまでの当社のやり方だと、部門ごとに中計を作って、経営企画部がその数字・中身を足していく “積み上げ方式”を採用していましたが、それをやめて、大きな方向性を役員会が示す“トップダウン方式”に変更しました。トップダウンと言っても、私が強権を発動するということではありません。社長が強くなり過ぎないように、役員会メンバー全員で議論を尽くして結論を出しました。去年8月から、当社の役員会は何十回とやってきましたから。
――かつて、ホンダは米国に利益を依存した経営体質について問題視されたことがあり、昨今は新興国展開を加速させました。2020年度の富士重の販売台数では、依然として米国に半分以上を依存する計画になっています。かつてのホンダのように、米国“一本足打法”となっていることに対して中長期的にみてもリスクはないのですか。