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人間の形をしていない家庭用ロボット
「ジーボ」の魅力とは?

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第310回】 2014年9月3日
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 最近スマートフォンに搭載されている「グーグルナウ」や「シリ」のようなパーソナルアシスタントとしての役割を遂行するよう考えられているので、そのうち特定の時間になるといつもの好きな音楽を流してくれたり、本日の献立とレシピを呼び出してくれたりするようになるかもしれない。このあたりは、AI開発の進捗と共にその内容も進化するはずだ。

 ジーボは相手の感情も理解するという。顔の表情や声の調子などからそれを推し量り、それに合わせた対応をする。ひょっとすると慰めのことばをかけてくれたり、心が落ち着く物語を聞かせたりしてくれるのかもしれない。

 テレプレゼンスロボットとして、遠くにいる誰かを呼び出すことも可能。そうすると顔面部分に相手の顔が映し出され、おしゃべりをすることができる。ジーボは相手の顔を追うので、まるで本当に人間と話しているような感覚が生まれるはずだ。音声でビデオ会議や通話をスタートさせることもできる。

 ジーボの動きもかなり面白い。先述したようにジーボは非常に抽象的な外見でしかないが、驚くべきはその動きだ。ジーボは頭部と台部分のふたつに分かれていて、それぞれが動くことで、クネクネとした巧みな動作を生み出す。かたちは抽象的でも、生き物のような強い印象が生み出されるように設計されているのがわかる。

 子どもの相手もできるように考えられている。たとえば絵本を一緒に読むと、内容に合わせて表情を変えたりして、コンパニオンとしての役割も果たすようだ。

ジーボを開発した米MIT准教授のシンシア・ブラジル氏(http://www.myjibo.com/ より)

 ジーボを開発したのは、マサチューセッツ工科大学メディアラボの准教授であるシンシア・ブラジル。彼女は長くロボット研究と開発を手がけてきたことで知られ、ことに相手の感情を理解するソーシャルロボット分野の第一人者だ。人とロボットの関係においては、最適任者がジーボの開発にあたったということになる。

 ジーボの価格は499ドル。安いと関係者を驚かせたペッパーのほぼ4分の1だ。ブラジル准教授によると、「ハイエンドタブレット」と同程度の価格を目指したということだ。つまり、タブレットと同じように家庭に1台入っていくデバイスとして位置づけているわけだ。

 万能のお手伝いロボットはまだ来ないが、ロボットのいる生活が少しずつ近づいて来た。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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