年々増加している「新世代クマ」って!?写真は人里に下りてきたツキノワグマ(2025年撮影) Photo:PIXTA
北海道・東北地方を中心に、連日クマによる人身被害が絶えません。東京農業大学・山崎晃司教授(崎は立つ崎)は、クマは「可愛さ」と「恐ろしさ」というまったく異なる印象を一身にまとう、不思議な動物だと言います。山崎氏監修の『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』(日本文芸社)より最新の研究が明かす、知られざるクマの姿に迫ります。
ネコにはマタタビ、クマには……
クマの嗅覚は人間の数千倍
ネコがマタタビにうっとりするように、クマにも思わず反応してしまう“気持ちのいいにおい”があります。なんとそのにおいは、ペンキや香水、車のワックスといった人工的なものなのです。
実際に野外では、ペンキが塗られた看板や道具に、ヒグマやツキノワグマが体をスリスリとこすりつけたり、かじったりする姿が目撃されています。これは製品に含まれる揮発性の「エステル類」という化学成分が、クマにとって強く刺激的なにおい信号として働いているためではないかと考えられています。
クマの嗅覚は人間の数千倍以上で、イヌ以上ともいわれるほど優れており、視覚・聴覚情報よりも、においが生活していくうえでの重要なカギとなります。たとえば動物の死骸や、果物、腐った魚のにおいを嗅ぎ取って何百mも移動したり、好物を地面に埋めたりするなど、においに対するさまざまな反応が観察されているのです。
ちなみに、埋めるのはあとで食べるため。落ち葉や土をかぶせて10cm前後の深さに隠すことが多く、動物の死骸やにおいの強い魚、熟した果実などが対象といわれています。
また、においの方向を見極めるときには、鼻を高く上げて風上を向き、においのもとに向かって直線的に移動していきます。








