日本側が評価する“日中外相会談”を
共産党関係者はどう見ているか

 8月9日未明、ASEAN地域フォーラム(ARF)に出席するためにミャンマーを訪問した日本の岸田文雄外相と中国の王毅外相が首都ネピドーの一角で会い、日中関係の現状と展望について話し合った。

 私もミャンマーに滞在していた。ARFの主催者だった現地の政府役人やメディア関係者たちは「長らく冷たい関係にあった日中両国が関係改善に動き出している」と現状を前向きに評価していたのが印象に残った。

 日本メディアも一斉に「日中関係改善へ」というトーンで、約2年ぶりに、第二次安倍政権が誕生してからは初めてとなる“日中外相会談”を報じていたようだ(「日中関係改善・最大の焦点 APECで日中首脳会談は行われるか」ダイヤモンド・オンライン2014年9月5日記事参照)。

 一方、中国メディアの反応・報道は冷淡だった。

 日中両外相が面会したことは報じたものの、終始「中日外相による非公式な接触」という文言を使用していた。中国におけるすべてのメディアは共産党当局における監視・監督下にあり、特に政治的に敏感な内政・外交マターに関しては、論調や内容を一致させ、情勢に対して挑んでいく。これを中国語で“統一戦線”という。

 “非公式接触”以外には、王毅外相が岸田外相との面会後に記者たちに語った「会う・会わないは形式でしかない。肝心なのは、中国との関係を改善しようという意欲が日本側にあるかどうかだ」というコメントが独り歩きしていた。

 ミャンマーから北京に戻った私は、日本メディアが盛り上がる“日中外相会談”について共産党関係者にその感想を伺った。すると、

「そもそも、“日中外相会談”など行われていない。両国外相が第三国の外交舞台で同席した際に、非公式に接触し、話し合いの機会を持っただけだ」とのことだった(中国メディアは、同じくネピドーで行われたジョン・ケリー米国務長官と王毅外相の会談については“中米外相会談”と報じている)。

 この関係者によれば、日本政府がこの“非公式接触”を拡大解釈し、日本メディアが世論をミスリーディングしないように、接触の前提として、日本側に対して「話し合いの内容は公開しないこと」を求めたという。

 私から見て、中国側の“中日外相非公式接触”に対するスタンスは、日中関係の現状と展望を考察するうえで極めて重要であり、上記におけるB氏の“リスク”と私の“温度差”にも深く関係してくる。