都立大学駅から目黒通りをはさんで北側に展開する柿の木坂・東が丘の住宅街は、青葉台と並んで目黒区内屈指のステイタスゾーンである。2つの街を貫く緑道の両側には、整然とした住宅がそれぞれ品よく連なっている。古くからのお屋敷も多い。環7通り・目黒通り・駒沢通りに面した場所でありながら、道を1本入った内側はきわめて閑静な別天地、憧憬の街が隠れているのである。

静けさが保たれた
落ち着いた住宅街

 目黒通りと環状7号線の交差するあたりは、昼夜の別なく自動車の行きかう交通の要衝である。この大通りの姿からはその内側にある住宅地の風情を想像することが難しいに違いない。柿の木坂から東が丘にかけての住宅街の中には、1台の車の騒音ですら耳立たせる静けさが保たれているようである。

 坂の名前としての柿の木坂は、目黒通りの一部、環7通りと交差する陸橋を頂上として、東急東横線の都立大学駅に向かって下っていく。駅の周辺には人の姿も多い。そしてそれとは対照的に、街の名前として柿の木坂を冠された地域は、エアポケット的な、古くからの家並みを残す、落ち着いた住宅街である。

呑川緑道
[呑川緑道]
呑川沿いに長く伸びる緑道。春は桜の名所でもある。

 街のイメージを決定づけているのは、目黒通りから柿の木坂・東が丘の真ん中を貫いて伸びる緑道である。旧・呑川を暗渠化してつくられた緑の散歩道は、四季を通じて色とりどりの植物が目を楽しませる。環7通りとほぼ平行して走るこの緑道は、表通りよりもはるかに街に有益であるのに違いない。

 区境をはさんで駒沢、野沢といった世田谷区の高級住宅街と接しながら、そのカラーとは別の色を保っているのが柿の木坂・東が丘である。目黒区らしいスノップさと落ち着きが、この街を歩くと感じられるのである。