目黒雅叙園が約1300億円で売買され、東京駅前にある高層ビルも1700億円規模での取引が最終調整に入った。高額取引が相次ぎ、不動産争奪戦が過熱している。

 8月上旬、不動産開発大手の森トラストはオフィスビルやホテルなどを持つ複合施設「目黒雅叙園」(東京都目黒区)を買収する優先交渉権を手にした。売り主である米投資会社ローンスターと、先に優先交渉権を得ていたシンガポール政府投資公社(GIC)の交渉が決裂し、チャンスが舞い込んだのだ。

 即座に自社によるデューデリジェンスを開始した森トラストは、29日には土地・建物の取得を完了した。取得額はなんと約1300億円に上った。

 雅叙園買収を諦めたGICは7月に東京駅前の高層複合ビル「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」(PCP、東京都千代田区)の入札(オフィス部分)へ参加し、最終調整に入った。

 PCPは2006年に不動産ファンドのダヴィンチ・アドバイザーズが約2000億円をはたいて買収、その金額は世間を驚かせた。

 結局ダヴィンチは資金繰りに行き詰まり、PCPは不動産ファンドのセキュアード・キャピタル・ジャパンが09年に約1400億円で取得した。このときも割高が指摘されたが、今回の取引額はその上をいく1700億円規模になると見込まれている。

 都内に残された数少ない大型物件として注目を浴びてきた雅叙園などの物件が相次いで動き、不動産売買は活況を見せている。リーマンショック前に続いた「不動産ミニバブル」のピークである07年の取引額は6兆円超(図参照)。その後は2兆円前後を這っていたが、12年後半から取引が増え始め、13年には4兆円を超えた。