大手予備校・代々木ゼミナールを運営する学校法人高宮学園が27校のうち7割強に当たる20校を閉鎖することが明らかになった8月下旬、同校本部は人員削減を含む大リストラを前に静まり返るどころではなかった。閉鎖する校舎に対する土地活用、テナント希望の申し出の電話が殺到し、その対応に追われた。
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閉鎖する拠点は、仙台(宮城県)、高崎(群馬県)、大宮(埼玉県)、柏(千葉県)、津田沼(同)、池袋(東京都)、立川(同)、町田(同)、横浜(神奈川県)、湘南(同)、浜松(静岡県)、京都、大阪、神戸(兵庫県)、岡山、広島、小倉(福岡県)、熊本。大都市の一等地に構える校舎が多く、用途転換を進める意向だ。そこで小売業などがわれ先にと出店を持ち掛けたというわけだ。
少子化に伴う受験人口の減少、現役志向と入試の競争緩和に伴う浪人生の減少によって予備校市場は縮小が続く。高宮敏郎副理事長は2月、本誌のインタビューで「20~30年前は一番大きな教室は650人いたが、今は大教室をいっぱいにして授業をやるという時代ではない」と語っていた。浪人生を中心に生徒を大量に集めるというビジネスモデルは抜本的な見直しを迫られている。
他校と比較した場合、代ゼミと共に3大予備校とされてきた駿台予備学校、河合塾は中高一貫校に通う現役生に強い。この層の親は塾に金をつぎ込む層でもある。代ゼミは2009年、中学受験で高い実績を持つ学習塾SAPIXを買収し、難関校を目指す現役生の取り込みを図った。提携した地方の塾や予備校に向けて映像で授業を配信するサテライト事業にも力を入れている。