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地方の朝獲れ鮮魚がその日のうちに食卓に!
物流とITが可能にした喝采のサービス

待兼 音二郎
2014年9月17日
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福岡はスーパーにサバの刺身が並ぶほどに恵まれた土地!
地方都市にもビジネスチャンスは眠っているのでは?

 三重県南部の紀伊長島港から愛知・岐阜・三重の東海三県向けに朝獲れ鮮魚の当日配送を行っている「魚匠 海人」という業者がある。特筆すべきは、航空便を使わずにトラック便のみで当日に届けていることだ。

 朝7時からの紀伊長島港のセリで買い付けた魚を客先ごとに梱包し、9時までに近くのヤマト運輸の営業所に持ち込む。それが四日市の物流ターミナルに着くのが11~12時。そこで各地向けに仕分けられて配達されるため、三重県北部なら14~16時には客先に到着する。つまりは混載便であり、その分だけ安く届けることができる。

 産直域内当日配送のアピール力は抜群で、リピーター率はじつに9割に及ぶという。名古屋でも大手百貨店や飲食店がこのサービスを利用している。四日市から少々距離があるため交通事情によっては夕方に店頭に並べるには厳しい到着時間になることもあるそうだが、そんな場合にはお客さんが四日市まで取りにくることもあるそうだ。

 紀伊長島は、名古屋だけでなく京阪神も比較的近いのが特徴だ。「魚匠 海人」は現状二人で切り盛りしているため対象地域を東海三県に絞っているが、混載便ではなくチャーター便にすれば京阪神への当日午後早くの配送も充分可能だし、二大都市圏を射程に収める立地の良さも活かせるはずだ。

 日本海側でも若狭湾あたりは大阪と名古屋の両方に近く、大きな可能性を感じさせる。

 ところで東京・大阪・名古屋の三大都市は、いずれも大きな湾の最奥にある。それだけに外海から遠く、魚の鮮度という面で不利な地理的条件を抱えているわけだが、人口150万の大都市でありながら玄界灘の好漁場がすぐ近くにあるのが福岡市だ。

 現に福岡のスーパーでは、サバやトビウオの刺身が当たり前に売られている。東京や名古屋ではあり得ない光景だ。福岡は空港が都心至近ということもあり、住みやすく魅力的な街として昨今ネット上で注目を集めているが、東京よりはるかに手軽に鮮魚が味わえることが、魅力に色を添えていることは間違いない。

 福岡なら、朝獲れ鮮魚の当日配達はおろか、生きたまま魚を運ぶ活魚配達でさえ東京よりはるかに低い配送料で実現可能だ。それだけに小さな業者でも鮮魚/活魚ビジネスに参入可能だし、所帯が小さいぶん小回りも利き、新奇なビジネスモデルにも挑戦しやすい。

 IT環境の充実で、必ずしも東京でなくてもできる仕事は増えているが、東京への一極集中は加速するばかり。ところが鮮魚が安く味わえるという点で考えれば、東京の立地は明らかに不利だ。物流とITを駆使した朝獲れ鮮魚当日提供ビジネスが地方都市でもっと盛んになることで、地方都市の価値が見える化され、起業場所やサテライトオフィスの候補地として東京以外の選択肢が着目されることにもなるかもしれない。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R)

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