子どもを少しでもいい保育園に入れたいという保護者の思いがあっても、それに必要な情報はごく限られてきた。実用マガジン「ダイヤモンドQ」編集部では、そうした保護者たちの要望に応えるために、本邦初の保育園ランキング「東京ベスト保育園594」を作成した。第2回は、ランキング上位と下位の保育園はどれほど違ったのかを検証するとともに、ランキング作成に活用した第三者評価の活用法を解説しよう。
ランキング「東京ベスト保育園594」は、「利用者が安心できる保育園」の視点で作成した。各保育園を保護者の意見を重視して100点満点で評価し、点数の高い順に並べた。その結果、ランキング上位保育園と下位保育園では、明らかな差が出た。
都内1位に輝いたのは墨田区の「小梅保育園」。有限会社いちにさんが運営する認証保育園だ。97.2%と、ほぼ満点に近い。来年度に新設移転を控えていることもあり、建物や設備は決して新しいとはいえないが、サービス面、不満・要望への対応などが優れている。中でも突出していたのが、利用者(保護者)調査の有効回答率が100%だったこと。594園中、100%は6園しかなかった。そのくらい熱心に、利用者の声を聞いている。
実は小梅保育園は約10年連続で第三者評価を受けている。「保護者の考え方を知り、保育園を改善するツールとして有効」(中山しのぶ園長)だからだ。これまでも、卒園後に行くことになる小学校の状況を知りたいという声を反映させて、卒園児の保護者と現役の保護者を交流させる「架け橋お茶会」を開催するなど、様々な改善を繰り返してきた。
また保育園と保護者、子どもの信頼関係を高めるため、徹底した情報公開と理念の共有を重視している。「保育園は情報発信が苦手なところが多いが、保護者と信頼関係を駆逐するには、情報公開するのが近道」(西村孝幸代表)と説明する。
入園前には保護者と、一人につき約1時間かけてじっくりと保育園の方針などを説明。分厚い40ページちかい入園のしおりを渡して、ルール、考え方を共有する。しおりは毎年少しずつ更新するので、在園の人にも毎年渡すという徹底ぶりだ。しおりの内容はホームページにもすべて公開している。