6月24日(火)に閣議決定された新たな成長戦略「『日本再興戦略』改訂2014」のなかで、女性の活躍推進を後押しするために「働き方に中立な税制・社会保障制度等への見直し」が明記された。これは主に、配偶者控除の見直しのことを指している。具体的には年末に向けて議論が進められるが、配偶者控除の見直しで本当に女性の活躍推進が進むのかという疑問の声もある。背景には、女性の活躍推進を妨げる要因は、子育てや保育所に関する支援やサポート体制が整っていないことが大きいからだ。そこで、病児保育事業をはじめ、子育てと仕事の両立できる社会の実現を目指す認定NPO法人フローレンス代表理事駒崎弘樹氏に、現在進められている配偶者控除見直しについて、また女性の活躍推進のために必要なことは何かについて、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
「控除をとり現物サービスで」
という方向が望ましい
――配偶者控除の見直しについて、どのように見ていますか。
1979年生まれ。99年慶応義塾大学総合政策学部入学。在学中より学生ITベンチャー経営者として様々な技術を事業化。同大学卒業後、「地域の力によって病児保育問題を解決し、育児と仕事を両立するのが当然の社会をつくれまいか」と考え、フローレンスをスタート。2010年より、待機児童問題の解決のため、空き住戸を使った「おうち保育園」を展開。各種政府委員会委員を歴任。12年9月、一般財団法人日本病児保育協会設立、同年11月NPO法人全国小規模保育協議会設立、いずれも理事長就任。ブログはこちらhttp://www.komazaki.net/
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見直しには賛成です。政府税調が示すように、二重の控除を廃止する方向で良いと思っています。女性が働くことに対して少しでも障壁になるようなものは、できるだけ早くなくした方がいい。一歩でも先に進めば良いかなと思っています。
反対派の方々の気持ちはわからないでもないんです。単なる増税だという声もありますよね。でも、今回の配偶者控除の見直しで捻出されるお金を、きちんと保育の分野に使うのであれば、単なる増税とは言えないと思います。現に子どもや子育て、例えば保育所の増設に関しては予算が足りないです。現時点で約4000億円足りない。
しかし、今回の配偶者控除の見直しは、単純に法人税減税の原資として使われるという懸念もあります。もし本当にそうなのであれば、首を傾げざるを得ないです。なぜなら、「専業主婦からとって法人に付ける」というロジックになり、なかなか素直に受け入れられません。「控除は一部とるけど現物サービスとして返す」という方向が望ましいと思います。