また、重量挙げでは北朝鮮が金4、銀3、銅2の計9個を獲得したうえ、2種目で世界記録を更新する活躍を見せたが、国の方針で応援してはいけないことになっている韓国人の観客が祝福の拍手を送っていたという。韓国国民のなかにも、競技をフェアな目で見る冷静で穏やかな人たちが結構いるようだ。

産油国の帰化選手が活躍
アジア大会のグローバル化が進む

 ところで、今大会も陸上長距離はバーレーン、カタールの中東2ヵ国の選手が大活躍を見せた。日本選手の金メダルを阻んだのもバーレーンの選手だ。男子マラソンは松村康平がマハブーブに、女子マラソンも木崎良子がキルワに競り負け銀メダルに終わった。男子10000mは大迫傑が銀メダルを獲得する大健闘を見せたが、やはりバーレーンのエルアバシに最後の最後で敗れた。まさに目の上のたんこぶである。

 また、短距離ではカタールのオグノデが男子100mを9秒93、200mを20秒14という驚異的な大会記録で制した。

 当欄でも何度か触れているが、こうしたバーレーンやカタールの選手たちはいずれもアフリカ生まれだ。マラソンで優勝したマハブーブとキルワはケニア出身。オグノデはナイジェリア出身(エルアバシは出身不明)。オイルマネーで潤っている両国が、身体能力に優れたアフリカの選手を帰化させ、自国代表選手として競技に出場させているのだ。選手からすれば生活が保障され、好成績をあげればボーナスももらえる。国としてもメダルを獲れば盛り上がる。両者の利害が一致することで、アジア大会にアフリカ出身の強豪が出場し日本選手の優勝を阻んでいるわけだ。

 しかし、これはアジアの大会のグローバル化が進んでいることでもあり、嘆いていても仕方がない。むしろアジア大会でも世界のトップレベルの選手と戦える、それがアジアのレベルアップにつながると前向きにとらえるべきではないだろうか。男子マラソンで3位になった川内優輝はレース前からバーレーンの選手をライバルと見なし、負かす気でいたという。そうした強い気持ちがあれば、むしろ世界中の強い選手がアジアに集まるのは望むところだろう。