こんにちは。前回は、アバナードの米国本社が行った「世界1000社のCxOに聞きました」型調査についてお話ししました。それによると、約77%の企業が「エンタープライズソーシャル」を活用しており、また、そのうちの82%が、今後さらに活用していきたいと回答しています。

 その一方、IDCが2013年に行った調査によると、エンタープライズソーシャルの活用は日本企業の16.5%にとどまり、しかも利用は一部の部署に限られるという結果が出ています。同調査で、「現時点で利用意向がない」と答えた企業の60%以上は、その理由として「利用目的が不明確だから」と答えています。

 ところが、多くのネットの記事などでは、「どうしたらエンタープライズソーシャルは浸透するか」を、推進担当者の視点から書いています。これでは経営者への回答になっていません。それこそが大きなギャップであり、ひょっとすると「エンタープライズソーシャル」が推進されない大きな「罪」なのかもしれないと書きました。

 そして前回、エンタープライズソーシャル導入の目的を、以下のとおりと規定しました。

1.「価値観、ビジョンの共有」「一体感の醸成」のメッセージング
2.それらのメッセージに対する「反応」を分析し、アクションにつなげること
3.CRMやERPなどの「ビジネスプロセス」と連動し、社内の英知を集め、実際の仕事の生産性を上げられること

 そして、この2と3が非常に重要であると説明しました。

 マッキンゼーの報告では、20~25%のホワイトカラーの生産性の向上が報告されており、かなりの「費用対効果」が得られるとも話しました。

経営者がソーシャルに参加し、
その中で約束を果たすこと

 目的の明確化の次は、浸透の第一歩である「どのように使わせるか」です。

 まずは、よく言われる「トップのコミットメント」です。これは「予算を出すこと」や、「推進のシュプレヒコールをすること」のみではありません。

 何より、自ら参加をすること、そしてそこでの「会話」を経営に反映することです。

 私自身も経営者として、メールや社内報などを通じ、自分の考えを社員に伝えていますが、「エンタープライズソーシャル」は、会話として、双方向に近い形でコミュニケーションができるところ、それから、会話形式なので「結果の一方通行」ではなく、考え方を「プロセス」によって共有できるところが、とても重要です。