昨年のニュースで、とってもショックだったものがあります。

「欧州最大のITサービス企業である仏アトス社が、社内のeメールを廃止!!」

 アトス社は、世界42ヵ国、社員数7万4000人を誇り、昨年度の売り上げが86億ユーロという、立派なIT企業です。

「アトス社のティエリー・ブレトン最高経営責任者(CEO)によると、同社のスタッフが受けとる平均200件のeメールのうち、価値があるものは15%にすぎず、スタッフは週に5~20時間をeメールの処理に取られているという。ブレトンCEOは、eメールに代えて、インスタントメッセージなどのチャット的なコミュニケーション手段を使ったほうがよいとしている」

 このニュースは、その登場以来、「eメール無しには生きていけなくなっている」我々にとっては、かなり衝撃的なものだと思います。

 この他にも、今年の頭に就任したIBM初の女性CEO、ロメッティさんは、それまで慣習であった「eメールによる一斉同報」の挨拶をやめ、社内SNSでビデオを使って、40万人のIBM社員に対して就任の演説をしたとか、eメールは、登場から50年を経て、受難の時代を迎えつつあるようです。

 少し前ですが、電車の中で女子高生が、友人との会話で「面と向かって電話してやる!!」って真面目に言っていました。これは、我々の世代に比べ、eメールというコミュニケーション手段が、生まれた時点で既に一つ増えているために、「自然」に出てきた表現なんだろうと思います。彼らの世代にとってeメールは、それほど、コミュニケーションの中核をなしているんだと、改めて思い知った出来事でした。

 私は、ITが起こした「革命」の中で、eメールの登場は、最大のものの一つではなかったかと思っています。そのeメールが、もはや、SNSという「新種」によって淘汰されるかもしれないと思うと、やっぱり、今のITの進化のスピードは、恐るべしだと思います。