当然ながら、それだけ優秀な候補者の中から、将来会社を背負っていけるであろう、機知と人間性を兼ね備えた人物を選ぶのが人事の仕事だ。彼女も、もちろんそのつもりで面接に臨んでいた。

なぜ優秀な男性候補者の評価が
自分とことごとく違うのか?

 ところが、数人の面接が終わって会議を行っている際、彼女は妙なパターンに気がついた。女性候補者への評価について、A氏と彼女の評価はほとんど一致する。しかし、男性候補者については、ことごとく反対の評価なのだ。

 いや、正確に言えば、彼女がダメだと思った男性候補者については一致する。だが、彼女が「これは非常に優秀だ」と思った男性候補者について、A氏の評価はことごとく低かった。と言うよりも、ほぼ最低評価となっている。彼女が「5」をつけた人物には、「1」がつけられる。A氏が「5」をつけるのは、実際には「3」はつけられないものの、彼女にとっては「3」程度の人物なのだ。

「なんで、こんなことになるのだろう?」

 特に納得いかなかったのが、ある1人の男性候補者についてだ。

 その彼は、面接会場に入ってきたときから、他の候補者とは違っていたという。大抵は極度の緊張の中、おどおどして面接官の顔も見ずに挨拶を始める候補者がほとんどだったなかで、緊張はしているものの、面接官をまっすぐに見て、それから挨拶をした。

 別に、外見的特徴があるわけではない。だが、入ってきたときからオーラが違っている感じがした。そう思ったのは、彼女だけではなかった。A氏以外の他の面接官たちも、それを感じたと言っていた。

 どこの会社でもそうだが、面接チームにはそれぞれの面接官に予め役割がある。誰がどんな質問をするかは決まっており、中には「圧迫」とまではいかないまでも、多少意地悪な質問をする役回りの面接官もいる。