韓国が使用済核燃料を再処理すれば、核爆弾に利用できるプルトニウムやウランを抽出できるようになる。これは、核不拡散政策に反する。加えて、朝鮮半島は常に緊張状態にあり、北朝鮮に再処理及びウラン濃縮計画を放棄するように説得するのが更に難しくなる。

 結局、韓国は1974年に発効した米韓原子力協力協定によって、使用済核燃料を再処理ができないでいる。しかし今回は、米国が欧州原子力共同体(EURATOM[European Atomic Energy Community])と結んでいる協定の内容をモデルにして、「同意や承認という直接的な単語を使わずに、「条件付き再処理」や使用済核燃料の形状変更を容認する「包括的事前同意」の方法で新協定の内容を整理」しているそうだ。

 新協定を米韓両国議会が批准すれば、2016年4月から発効することになるだろう。それにより、米韓で共同研究しているパイロプロセッシング(乾式再処理技術)の工程が韓国国内で実施可能になり、そのためのホットセルとして「大田(テジョン)の韓国原子力研究所の既存施設を活用できる」ことになる。

 パイロプロセッシングは、現在の再処理技術の主流である湿式再処理技術の次の世代の先進技術である。資源の有効利用にもなる高燃焼度タイプの核燃料にも対応できるようになる。高速炉と組み合わせることで、回収された超ウラン元素を核分裂させて高レベル放射性廃棄物を減容化・短寿命化でき、地層処分地に必要な面積を75%も減らすことができる。こうした多くのメリットを期待することができる。

 このように考えると、今般の米韓合意内容が上記記事の報道の通りになるとすれば、韓国にとっては、米国との関係だけではなく、日本国内も含めて機動的に展開してきた『再処理獲得』への長年の苦労が実を結び、悲願を実現することになる。さらに、技術立国・韓国の将来展望を一層広げるという意味で、大きな意義があることと言える。

正反対の道を進む日本
過去の苦労は水泡へ帰す

 米韓関係や韓国がこうした新たな前向きの動きを見せつつあることが報じられるなかで、日本の状況はどうであろうか。

東海再処理施設 (出典:JAEAホームページより)

 上記の東亜日報記事が出たのと同じ9月29日、独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)が、原子力機構改革検証委員会(第3回)において、東海再処理施設(茨城県東海村)の廃止など、再処理事業に関して後向きとも思われる内容を散りばめた方針案を提示した。

 同じ日に『再処理』に関して、日本と韓国で何とも対照的な報道や動向が日韓両国から出てきたのは、偶然の皮肉としか言いようがない。原子力平和利用を巡る今般の日韓両国を取り巻く状況の違いは、少なくとも日本にとっては非常に“痛いこと”である。