8%への消費税増税から半年。このままいけば、来年10月にはさらに10%への増税が始まる。安倍首相がそれを決定すると言われるタイムリミットが、この年末に迫っている。足もとで景気回復に踊り場感が出ているなか、「財政難だから」「日本の将来のために」と4月の増税を容認した多くの国民の気持ちは、まだ変わらないのだろうか。このへんで、そろそろ世の中のホンネを聞いてみたい。正直、消費税10%は「アリ」なのか、それとも「ナシ」だろうか。(取材・文/プレスラボ・小川たまか)
正直なところ「アリ」か「ナシ」か?
迫る「消費税10%」への決断
8%への消費税増税から、あっという間に半年が過ぎた。ようやくややこしい端数の計算に慣れてきたところだが、すでにさらなる増税の決定が目前に迫っている。
「10%」は区切りのいい数字ではあるものの、そのインパクトはやはり大きい。安倍内閣はこの年末に、消費税率の再引き上げを判断する方針で、本格的な実施を2015年10月に予定している。
ダイヤモンド・オンラインでは、4月末に「消費税増税の影響は拍子抜けするほど小さかった? 買い控えに走らない消費者心理に見る『本当の危機』」と題した記事を掲載し、4月の増税時には事前の懸念と比べて、消費者からの反発や買い控えムードが意外に小さかったことを伝えた。
もちろん、増税前に買いだめを行った人も多く、庶民の生活にとって8%への増税は痛手だったに違いない。ただし、3%、5%と続いた消費税の3回目の引き上げとあって、消費者も比較的冷静な行動を取ったと言える。また、「財政難だから仕方ない」「アベノミクス+増税で景気が上向きになるのではないか」と、政府の宣伝が一定の理解を得られていたフシもある。
しかし、一時のムーブメントが引き潮に転じたように、最近はアベノミクスという言葉自体を、以前ほど聞かなくなった。実際にその効果があったことについて、首をかしげる人も少なくない。
増税後に起きた個人消費の反動減などにより、4-6月期のGDPが落ち込んだことは想定の範囲内だったとはいえ、足もとでも消費は伸びておらず、景気回復への見通しがいいとは言えない。たとえば、厚生労働省が9月中旬に発表した7月の毎月勤労統計調査(確報値)によれば、現金給与総額の平均は対前年同月比2.4%増の36万9097円と、17年半ぶりの高い伸び率となった。しかし、これには裏があり、物価変動を考慮した実質賃金指数を見ると、前年同月比1.7%のマイナスと、13ヵ月連続で下がり続けている。