何もなかった1DKの部屋。
写真に撮っておけばよかったんだ。

立花 あと、本には書いてなかったけど、恵比寿のマンションに住んでる頃、僕とゴルフに行ったことがあったよね。覚えてる?

杉本 覚えてますよ。1DKの部屋まで送り迎えしていただきました。

立花 あの時、ゴルフに行こうと誘ったら「今はゴルフどころじゃない。やりたくない」って、杉本君は断ろうとした。

杉本 そうですね。でも「うるさい。来い!」と、陽三さんはいつもの通り強引でした(笑)。

立花 当時の部屋のことは本にも書いてあったね。ゴルフ帰りに送って行った時だったかな、私も一度あの部屋に上がったことがあったんだ。それまでの部屋も私は知ってたから「こんなに小さな部屋に引っ越したのか」と痛ましく感じてしまった。しかも、部屋の中にはベッドと小さなテーブル以外、何もない。がらんとした部屋を見ながら「ああ、杉本は破産したんだ。ゴルフなんかに誘って悪いことしたな」と痛感したんだよ。

杉本 そうなんですね。でも、今から思うと、ああやって陽三さんや藤田さんが誘い出してくれたのは、本当にありがたいことでした。

立花 それにしても、あの部屋の様子は写真に撮っておいた方がよかったんじゃないか? 一度失敗したことを忘れないためにも。

杉本 写真は撮ってないですけど、絶対に忘れられないですね。ちょうどその当時だったと思いますけど、陽三さんから「収入を生まないものは資産じゃなくて、無駄な荷物なんだ」と教えられたことがありました。その言葉は今、うちのグループの行動指針に明記させていただいてます。

立花 そうなのか。それはうれしいね。でも、再起した途端に、またワインとか車とか無駄なものいっぱい買ってるらしいじゃないか(笑)。

杉本 いえ、いっぱいは買っていません(笑)

 

(後編に続く)