『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』が発売1ヵ月で4刷と大反響を呼んでいる。その著者である起業家・杉本宏之氏が、本書の中にもたびたび登場する堀江貴文氏と語り合う。お互いにどん底を経験して再起を果たした二人の考える起業家の思考とは? ――この対談は、ホリエモンチャンネルの収録に引き続いて行われた。(構成・寄本好則 写真・寺川真嗣)
民事再生申請後、最初の電話に、
堀江さんの熱さを感じた
堀江 『HONZ』で書評を書かせてもらったけど、『30歳で400億?』、いい本だね。
杉本 ありがとうございます。堀江さんの書評のおかげで、書店で在庫切れになってしまったそうです。
堀江 そうなんだ。HONZも力あるね。個人的に失敗談はあまり好きじゃないんだけど、この本はなかなか面白かったです。
杉本 ただ、こんなに売れるとは、僕を含めて誰も想像していなかったんですよ。たくさんの方に読んでいただけるのは、本当にありがたいことです。堀江さんの『ゼロ』は、今でも売れ続けてるんですよね。
堀江 そうだね。今、34万5000部くらいかな。順調に売れ続けてますけど。
杉本 単行本で新刊のときは勢いよく売れたとしても、長く売れ続けるのは難しいんでしょうね。
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年福岡県八女市生まれ。実業家。元・株式会社ライブドア代表取締役CEO。民間でのロケット開発を行うSNS株式会社ファウンダー。東京大学在学中の1996年、23歳のときに有限会社オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。2004年から05年にかけて、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などといった世間を賑わせる行動で一気に時代の寵児となる。しかし2006年1月、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され懲役2年6ヵ月の実刑判決を下される。2013年11月、刑期を終了したのを機に著書『ゼロ』を刊行し新たなスタートを切った。
堀江 そうだろうね。ただ、今はソーシャルメディアの影響力が大きいから、HONZのようないわゆるバーティカルメディア(特定の領域に特化したメディア)でいい記事が出ると、そこでまた一気にジャンプアップしたりするんですよ。シェアエコノミー(共有型経済)の時代なんだよね。
杉本 ところで、本の冒頭にも書いたエピソードですけど、僕が民事再生を申請した日に、堀江さんが野尻さんと一緒に電話をくれたじゃないですか。あの電話は本当にありがたかったんですよ。民事再生を申請するまでは、本当にひっきりなしに電話がかかってきていたのに、申請した途端、誰も連絡をくれなくて、一気に絶望感を味わっていたんです。あれだけニュースやネットで騒がれてると、誰も電話してくれないものですね。
堀江 そんなものかな。
杉本 たぶん気をつかって、そっとしておいてくれるんでしょうけど、相当寂しかったですね。しかも、堀江さんが電話をくれたのは、朝の4時前でした。
堀江 ああ、飲んでたからね。たしか、かなりベロベロだった(笑)
杉本 酔ってるのはわかりました。でも、話は理路整然としてましたよ。本の中では多少端折ったところもありますけど「負けるなよ」と熱く語っていただいたのが、本当にありがたかったし、堀江さんはじつは熱い人なんだと感じました。
堀江 別にメールでもよかったんだけどね。当時はLINEとかなかったし。今ならきっとLINEだったな。