人事以外の部門でも
活躍できるのかどうか

 冒頭の問いに戻りますが、人事パーソンとして成長するために、人事以外の実務経験は必要ないのでしょうか。

 そもそも何を目指しているのかによりますが、例えば、将来CHO(最高人事責任者)になりたいと考えた場合、必要とされる知識スキルとして、通常の人事全般の知識以外に、経営戦略の知識、戦略構想力、管理会計・財務の知識などが必要になります。

 そして、これらを習得する上で、ラインマネジャーの経験や、経営企画室の経験が役立つだろうという説(注1)があります。

「役立つだろう」という表現であることは、実際に経験していなくとも、別の学習機会で補うことも可能だと考えることができます。

 ただ、私が出会った人事部長の多くは、実際に人事以外の部門マネジメントもできる方々が多いように感じます。

 例えば、組織が大きくなればなるほど人事部内の分業化も進み、それぞれの専門分野に特化したスペシャリストが多く存在することとなります。専門性の高い人事業務を安心して任せられる体制が整っているため、その上に立つ責任者は真のマネジメントとして必要とされるファンクションに特化することとなります。

 これは別の言い方をすれば、人事としての経験よりも、マネジメントとしての経験・実力が重要だということです。

 このように考えると、人事以外の経験があるかどうかよりも、人事以外の部門でも活躍できるのかどうかがキモなのかもしれません。

(注1)金井壽宏・守島基博(編著)、原井新介・出馬幹也・須東朋広(著)『CHO 最高人事責任者が会社を変える』(東洋経済新報社、2004年) 65頁