中国崩壊論が氾濫する背景には、中国脅威論というものがある。経済力も軍事力もますます強くなってきた中国が怖い(脅威論)。かといって、自らの力ではその中国の発展を阻止することはもはやできない。だから、その崩壊を期待する方向へ疾走する。つまり私が4年前に指摘したように、日本人はますます“他力本願”に依存するようになった。

 中国脅威論といった視点から見れば、中国主導のアジアインフラ投資銀行のスタートは国際金融の世界にも中国が首を突っ込んだことになる。数ヵ月前のもう一つのニュースと合わせて読むと、中国のこの新しい動きと傾向がはっきりと判読できる。今年の7月に、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5ヵ国(BRICs)はBRICs開発銀行の設立を宣言し、その本部を上海に置くことに合意した。発足時点の資本金が1000億ドルというBRICs開発銀行も、見方によっては中国の勢力基盤を作るために、世界金融に打ち込んだ杭と見ることが可能だろう。

 しかし、この種のニュースも中国崩壊論主張者にとっては都合が悪い。自然に無視される対象となった。だから、中国崩壊論を主張するメディアは、まるで日本国民に睡眠薬を投与し続けるようなものだとこの頃、思うようになった。かつての気概と自信と冷静さはどこに行ったのだろうか。